コーヒーをもっと楽しんでもらうためにエモ珈琲さんが大事にしていること。

コーヒー豆から買ってもらうために、簡単だけど手間がかかること

代官山マルシェに毎回出店している「エモ珈琲」店主の鳥川健さん。町田市のコーヒー豆を扱う貿易会社に務めながら、美味いコーヒーを納得いくまで追求し、2011年に自家焙煎のコーヒー豆のお店をオープンしました。コクや香りなど自分にぴったりなコーヒーを探したい方、いろいろな産地のコーヒーを飲み比べてみたい方、ぜひ鳥川さんに会いに、代官山マルシェに行ってみてください!

エモ珈琲

―鳥川さんのこだわりは何ですか?
コーヒーは粉にしてしまうと、豆そのものの品質ってあまり分からないじゃないですか。でも、コーヒーは習慣ですから、悪い品質の豆を長年飲み続けると、体の調子が落ちてくるんです。僕は、自分が飲んで安心できないものは嫌だし、簡単だけど手間がかかることを守っていきたいと思っています。

―簡単だけど手間がかかることって何でしょうか?
まず、サンプルから始めて「目利き」をします。何でかと言うと、全く同じ名前でも、一年間倉庫で眠っていた豆かもしれないし、暑い状態の船底で運ばれてきた豆かもしれない。「この豆の名前だからこの味が出る」と決め付けることはできないんですよね。

そのあとはハンドピック(手で豆を選別すること)をします。数%から、場合によっては数十%の悪い豆があって、虫食いやカビの生えた豆なんかを一緒に焙煎してしまうと、苦味が酷かったり体調が悪くなったりもします。
コーヒー豆は湿度がほとんどない国で取れるので、湿度のないところで保存することも大事です。僕は、空調の効いた涼しいところに豆を保管していて、注文ごとに焼いています。

焼いてすぐの豆は香りが立たないので、お客さんには二日目のコーヒーをお渡しするようにしています。一日置くと、豆からすごい良い香りが出てくるんですよ。和食の煮物と同じです。一日置くと味がまろやかになりますよね。
ドリップしたときに、豆が膨らむかどうかで、香りの有り無しもわかります。しっかり焼いた豆は2週間後でも膨らみますし、焼き方があまいと、1日後でもへこんでしまいます。

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―どんなコーヒー豆を選んだらいいか、わからないんですが…。
エモ珈琲では、お客さんの好みを聞きながら、豆の種類や焼き方、挽き方を決めます。日本だと「コーヒーの酸味がダメ」とか「コクのあるのが好き」という方は結構多いですね。
まず味や香りの好みを聞いて、「今こういう豆があるんですけど」というところから始めて、すっぱさや濃さの好みで煎り方を決めます。浅煎りだとすっぱさや渋みが目立ちますし、深煎りだと苦さが目立ちます。ただ、当然コーヒー豆によって浅煎りの方が味が活きてきたり、深煎りだと魅力が半減してくる豆もあるので、そこは要相談です。あと淹れ方も聞きますね。それによって挽き方も変える必要があります。

コーヒーに出会うまで、どちらかというと紅茶派だったんです(笑)

―なぜこんなにコーヒーにこだわりを持つようになったんでしょうか?
コーヒーに出会うまで、どちらかというと紅茶派だったんです(笑)。転機は貿易会社に入ったことで、生豆と焙煎機が身近にある環境だったことですね。いろいろな焙煎方法や淹れ方があるけれど「どれが一番美味しいんだろう?」っていう疑問を解決できる環境がありました。例えば苦味の原因が焙煎なのか、豆の種類なのか、収穫から時間が経っているのか…。先入観がなかった分、自分で実験して美味しさを追求してるんだと思います。

対面で販売できるマルシェは学びが多い貴重な場

―コーヒーをこだわって飲みたい人に、とことん付き合うんですね。
こだわって楽しむときの、自分にあうコーヒーを見つけてほしいです。なのでメールや電話で注文もできますが、実際実物を飲み比べてもらって、対面で販売できるマルシェはお客さんとコミュニケーションがとれる貴重な場です。

―今後の目標は?
「手作りで少量の良いものを提供したい」というスタイルなので、価格がすごく安いわけではないですが、マルシェで顔と顔を合わせて「美味しい」って言ってもらえた人に、ウェブからも便利に買ってもらいたいですね。

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