いえじま小麦の生みの親、玉城さんのいえじま小麦にかける思い

いえじま小麦とは?

 いえじま小麦とは、沖縄本島から北西へフェリーで30分ほど行ったところにある、「伊江島」育ちの小麦のことです。品種は、江島神力(えじまじんりき)という沖縄在来のもので、通常は取り除いてしまう表皮、胚芽、胚乳などを全て粉にした全粒粉にこだわっています。
伊江島産の小麦として、この「いえじま小麦」のブランド化をはかるのが、かりゆしウェアに身を包んだ玉城堅徳さん(57)。
ここでは、「なぜいえじま小麦が生まれたのか?」や、「いえじま小麦にかける玉城さんの熱い思い」について紹介します。

玉城堅徳

なぜいえじま小麦が生まれたのか?



本職は、有限会社 TAMAレンタ企画の代表である玉城さん。
伊江島の民家に修学旅行生を受け入れる「民家宿泊体験」(民泊)を10年ほど前から行っていました。学生たちは「おかえりなさい」で迎えられ、伊江島の海や畑や文化に触れたあと、「いってらっしゃい」と送り出されます。150名のたった一校の受け入れから始まった民泊は評判が広がり、現在では一年間に3万5千人を受け入れるほどに成長しました。受け入れ民家の数は、120軒にもなります。
しかし、そんな民泊も少しずつ減少しているのが現実です。「これから環境が変わっても、島の人々の生活を支えられるものを作りたい。」そんな思いで思考錯誤を続け、たどり着いたのが「いえじま小麦」でした。

伊江島は昔から農業がさかんな土地であり、さとうきびを主軸に、らっきょう、冬瓜、伝書菊、紅芋などを栽培する兼業農家が多くいます。さらに、小麦や大麦、大豆、いんげんなどの穀物類は、かつては自給自足で育てる習慣があったそうです。玉城さんは、伊江島の住民が多かれ少なかれ農地を持っているところに注目し、一度はさとうきびや葉タバコの生産で途絶えた小麦生産を復活させようと呼びかけ、「いえじま小麦」が生まれたのです。

いえじま小麦

いえじま小麦にかける熱い思い



2012年、16軒の仲間が集まり、小麦生産事業組合を作り、大規模な小麦の生産を始めました。生産者たちはどうすれば美味しい「いえじま小麦」を食べてもらえるか話し合いを重ね、沖縄そば、全粒粉麦芽いりのパンやお菓子を作っています。2013年の12月には、加工工場が完成する予定です。

玉城さんの最終的な願いは、「伊江島のことを知ってもらって、ぜひ伊江島に来て欲しい」という事です。修学旅行生の民泊体験で培ったノウハウを生かして、これからは一般の方々も受け入れていきたいと語ります。伊江島に来る方々を家族のように「おかえりなさい」とお迎えし、「いってらっしゃい。次はいつ帰って来るね!」とお見送りする―…。訪れた人たちが、伊江島を第二の故郷のように思ってくれたら嬉しいと玉城さんは言います。

伊江島の農家の方々が一生懸命育てた「いえじま小麦」があなたのお家に届き、いつか伊江島で「おかえりなさい!」と迎えてもらえたら…。夢のような、でも本当に叶えられる、素敵な思い出をあなたも伊江島で作ってみてはいかがですか?